In This Issue

カスケードの便利さ

Nature Photonics 1, 9 doi: 10.1038/JnphotonInThisIssue60042

テラヘルツウインドウ(波長約30 µm~1,000 µm)におけるイメージングシステムや分光システムは、現在、見事な性能を実現できる。しかし、そのようなシステムの利便性、サイズ、コストは、テラヘルツ波を発生させるのに必要な方式が複雑であるため、限られたものになっている。研究者らと産業界が本当に必要とするのは、この領域で動作する費用効率の優れた高性能半導体レーザーである。
解決策は、電子がある量子井戸エネルギーレベルから別のレベルへと移動するいわゆるバンド内遷移を活用するよう設計されたいわゆる量子カスケードレーザー(QCL)にあるかもしれない。半導体の直接遷移の場合に通常放出されうる光よりはるかに長波長の光を放出する半導体光源の設計が、QCLによって可能となる。今月号では、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のB Williamsが、テラヘルツ光源としてのQCLの開発について概説する。最初のデバイスが実証されてからちょうど6年で、テラヘルツQCLは現在ミリワットの連続波光を発生できる段階にまで進歩している。幅広い応用を目指す上では朗報である。

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