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産後うつ:不安に焦点を合わせた認知行動療法を非専門家が行うことで産後うつの予防を目指す ─ 無作為化第3相試験

Nature Medicine 30, 3 doi: 10.1038/s41591-024-02809-x

妊娠中に女性が経験する不安は、特に医療資源の乏しい環境では非常に多く見られ、産後の一般的な精神障害(CMD)、不安症、うつ病を強く予測する。我々は、産後CMDの予防に関して、不安に焦点を合わせた産前の早期介入の有効性を評価した。パキスタンで実施された本試験は、妊娠22週以下で、臨床的なうつ病ではないが、少なくとも軽度の不安を抱える女性を対象とした、第3相2群単盲検無作為化対照試験である。参加者は、HMHB(Happy Mother–Healthy Baby)プログラム群あるいは強化ケアのみの群に無作為に割り付けられた。HMHBプログラムは、認知行動療法に基づいており、非専門家による妊娠中の1対1の介入セッション6回を提供するものである。主要評価項目は、産後6週の時点での大うつ病、全般性不安障害、またはその両方であった。全体として、755人の女性が産後評価を完了し(介入群380人〔50.3%〕、強化ケア群375人〔49.7%〕)、主要評価項目は達成された。調査を統合すると、介入群に無作為化された女性では、大うつ病エピソード(MDE)あるいは、中等度から重度の不安症のいずれかの発症オッズは81%減少したことが分かった(調整オッズ比〔aOR〕= 0.19、95%CI 0.14~0.28)。全体として、産後6週の時点で、介入群女性の12%、対照群女性の41%がMDEを発症していた。介入により、産後MDEのオッズは81%減少し(aOR = 0.19、95%CI 0.13~0.28)、また中等度から重度の不安症のオッズは74%減少(aOR = 0.26、95%CI 0.17~0.40)したことが分かった。HMHBプログラムによる不安症状に焦点を合わせた産前の早期介入は、産後CMDを減少させることが明らかになった。ClinicalTrials.gov登録番号NCT03880032。

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