Editorial

FOCUS 次のパンデミックに備える

Nature Medicine 27, 3 doi: 10.1038/s41591-021-01291-z

世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はパンデミック(世界的大流行)であると宣言した2020年3月11日から1年が過ぎた。世界中でほぼ1億人が感染し、死亡者は200万人を超え、症状が一応回復した人たちでも、その多くが長期間継続する後遺症に悩まされている。COVID-19に関して、ワクチン接種や患者の症状の管理には進歩が見られるが、ここ100年では最悪となった公衆衛生の危機の終わりはまだ見えていない。Nature Medicine 2021年3月号には、COVID-19パンデミックの長期に及ぶ影響を解明し、今回の医療的危機への対処における過誤から学べる教訓を検証して、今後の危機に備えるための特集が組まれている。

この特集を準備するにあたって、我々はCOVID-19パンデミックへの対応に関わった大勢の専門家に話を聞いた。その中には免疫、ワクチン、疫学などの専門家、医療体制や病院関係のレジリエンスに関わる人たち、さらに公衆衛生に関わる政策担当者など、さまざまな関係者が含まれており、こうした取材や会話の中から、今回の特集だけでなく、今後も続いて本誌で論じられるであろう共通のテーマが浮かび上がってきた。

これらの中には、今回の前例のないパンデミックに対してどのような失敗があったのか、それらを改善した新しい体制作りについて、また、糖尿病や肥満、高血圧のようなありふれた病気が増えていたことがCOVID-19パンデミックでの死亡者数の増大につながったとして、科学的根拠と衛生関連教育に基づく長期戦略の必要性など、多様な提言が含まれている。今回の特集で詳しく論じられているのは、その一部である。

世界はまだ危機の真っ只中といってよく、将来について、また将来やってくるかもしれないパンデミックへの備えについて話し合いを始めるのは早過ぎると考える人もいるだろう。しかし、我々はそれには反対である。将来について討論し、今回のような規模の医療危機に対応できるように世界的キャパシティを改善するのに必要な変革について話し合うには、今しかないと我々は考えている。過去の数回の経験によって、資源、予算それに政治的資本は、疾患のアウトブレイク(集団発生)が起こるたびに先細りになる傾向が明らかになっている。健康や経済に対するCOVID-19の真の影響は、パンデミックの急性期より長く続くだろう。公衆衛生危機への備えや対策を見直すための長く続く変化に向かうこの好機を、我々は無駄にしてはいけない。

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