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臨床でのCRISPRの使用はどこまで進んでいるのか

Nature Medicine 27, 2 doi: 10.1038/s41591-020-01222-4

昨年、ジェニファー・ダウドナとエマニュエル・シャルパンティエはCRISPRの研究によってノーベル化学賞を受賞したが、CRISPRの使用に関するニュースの増加はノーベル賞受賞報道を超える勢いだった。臨床で使われる遺伝子編集技術は大きく進歩した。そして、さらに有効性の高い編集技術が開発されたことで、がんやメンデル遺伝性血液疾患での使用は臨床試験に進み、CRISPRはついに臨床で実際に使用されるようになってきている。最近の話題となった研究には、ヘモグロビン異常症の遺伝子治療、多重精密塩基編集法の治療への応用、CRISPRで編集されたT細胞を使うがん免疫療法の開発などがある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック(世界的大流行)関連では、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染をCRISPRを使って迅速に診断する検査キットもすでに開発されているが、これはまだ広く使われているわけではない。この他にも、宿主細胞中に潜むレトロウイルスのゲノムを標的として切断する手法など、CRISPRの臨床での適用拡大は止まることがないようだ。

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