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がん治療:黒色腫でネオアジュバント療法を用いた際の病理学的反応と生存率─INMC(International Neoadjuvant Melanoma Consortium)によるプール解析

Nature Medicine 27, 2 doi: 10.1038/s41591-020-01188-3

黒色腫でのネオアジュバント療法と、病理学的反応、無再発生存率(RFS)および全生存率(OS)との関連は分かっていない。本研究で我々は、抗PD-1に基づく免疫療法、またはBRAF/MEK標的療法の6つの臨床試験のデータをプールした。データには合計で192人の患者が含まれ、141人が免疫療法を受け(104人はイピリムマブとニボルマブの併用療法、37人は抗PD-1単剤療法)、51人が標的療法を受けた。病理学的完全奏効(pCR)は患者の40%で見られ、標的療法では47%、免疫療法では33%(併用療法で43%、単剤療法で20%)であった。pCRはRFSの改善(pCRが見られる場合の2年目のRFSが89%であるのに対して、pCRが見られなかった場合の2年目のRFSは50%、P < 0.001)およびOSの改善(pCRが見られる場合の2年目のOSは95%であるのに対して、pCRが見られなかった場合の2年目のOSは83%、P = 0.027)と相関していた。免疫療法によりpCR、near pCR、または部分的な病理学的奏功の見られる患者では、再発はほとんどなく(2年目のRFSは96%)、この論文の執筆時点では、黒色腫で死亡した患者はいないが、標的療法ではpCRが見られた患者であっても、2年目のRFSは79%にすぎず、OSは91%だけだった。病理学的奏功は臨床試験の初期の代替エンドポイントになり、黒色腫での治療薬の開発と承認のための新しい基準になると考えられる。

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