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エイズ:HIV治癒に関する研究は何を優先すべきか:国際エイズ学会世界科学戦略

Nature Medicine 27, 12 doi: 10.1038/s41591-021-01590-5

HIVと共に生きていく人々のための抗レトロウイルス療法(ART)は成功しているものの、治療は一生を通じて必要であり、治癒することはない。HIVは宿主ゲノムに組み込まれ、感染細胞が生存している間は生き延びる。このような潜伏感染細胞はほとんどが転写的に不活性であるため、異物として認識されないが、ARTがいったん中止されると感染再開を促すような複製能力を持つウイルスを含んでいる。免疫活性化因子、中和抗体、治療用ワクチンの組み合わせによって、一部の非ヒト霊長類モデルでは治癒が報告されており、楽観的な見方がもたらされて、現在これらの手法はヒトでの臨床試験で評価されている。また、ウイルスの標的化、免疫の増強、あるいは感染から細胞を保護するための遺伝子編集ツールのin vivo送達も、将来的なHIV治癒戦略として有望と考えられている。本総説では、HIV治癒に関する研究の過去5年間の進展について論じ、未解明のまま残っている問題をはっきりさせて、今後5年間の研究で優先すべき領域を明らかにする。

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