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COVID-19:英国での新規SARS-CoV-2感染に対してデルタ変異株がウイルス量とワクチン有効性へもたらす影響

Nature Medicine 27, 12 doi: 10.1038/s41591-021-01548-7

優勢となりつつあるB.1.617.2(デルタ)変異株を考慮すれば、新規な重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染に対するBNT162b2ワクチンとChAdOx1ワクチンの有効性には継続的な再評価が必要である。我々は、英国全体で無作為に選択した世帯についての大規模で地域社会をベースとした調査を行って、これらのワクチンの有効性を評価した。症候性もしくはウイルス量の多い感染(新規PCR陽性症例)に対するBNT162b2とChAdOx1の有効性は、B.1.617.2変異株では、B.1.1.7(アルファ)変異株と比べると低下する(絶対差がBNT162b2で10~13%、ChAdOx1で16%)ことが分かった。2回接種の有効性は、以前の自然感染による防御と少なくとも同程度の高さで維持される。2回目接種後の免疫動態は、BNT162b2とChAdOx1とで有意に異なり、BNT162b2では新規PCR陽性症例に対して当初は高い有効性が見られるが、高いウイルス量が見られる症候性感染に対する防御では速やかに減衰する。有効性が投与間隔によって異なることを示す証拠はなかったが、感染既往後にワクチン接種した場合や若年成人では防御効果がより強かった。B.1.617.2については、ワクチン2回接種後に起こる感染は、ワクチン未接種者での感染とよく似たウイルス量のピークが見られた。SARS-CoV-2用ワクチンの接種はまだ新たな感染を減らしているが、有効性やピーク時ウイルス量の低下はB.1.617.2では減衰している。

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