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NASH:非アルコール性脂肪性肝炎患者でのアラムコール:無作為化二重盲検プラセボ対照第2b相試験

Nature Medicine 27, 10 doi: 10.1038/s41591-021-01495-3

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は慢性肝疾患の1つで、承認された治療法がなく、脂肪毒性やインスリン抵抗性に関連しており、肝硬変や肝細胞がんの主な原因である。アラムコールは、肝臓のステアロイルCoAデサチュラーゼ(SCD1)の部分的阻害剤で、齧歯類で脂肪性肝炎と繊維症を改善し、初期の臨床試験では脂肪症を軽減した。52週間の二重盲検プラセボ対照第2b相試験であるARRESTでは、NASH患者247人がアラムコール400 mg群(n = 101)、アラムコール600 mg群(n = 98)、プラセボ群(n = 48)に無作為に割り付けられた(NCT02279524)。主要評価項目は、アラムコール600 mg投与の52週目での磁気共鳴分光法による肝臓トリグリセリドの減少であった。主要な副次評価項目には、肝臓の組織学的評価とアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値が含まれていた。アラムコール600 mg群は、肝臓トリグリセリドについてプラセボ群で補正された減少を示したが、事前に設定した有意水準を満たさなかった[−3.1、95%信頼区間(CI) −6.4~0.2、P = 0.066]ので、さらなる正式な統計解析から除外された。繊維症を増悪させないNASH解消の達成は、アラムコール600 mg群では16.7%(78人中13人)であったのに対して、プラセボ群では5%(40人中2人)であって[オッズ比(OR)= 4.74、95%CI = 0.99~22.7]、NASHを増悪させずに繊維症の1ステージ以上の改善を達成したのは、アラムコール600 mg群は29.5%であったのに対してプラセボ群は17.5%であった(OR = 1.88、95%CI = 0.7~5.0)。プラセボ群で補正されたALT減少はアラムコール600 mg群で−29.1 IU l−1(95%CI = −41.6~−16.5)であった。有害事象(AE)による早期終了は5%未満であり、アラムコール600 mg投与と400 mg投与は安全で、耐容性は良好であり、この2群間には深刻な、または重度のAEの不均衡はなかった。主要評価項目である肝脂肪の減少は、アラムコール600 mg群について事前に設定した有意水準を満たさなかったが、観察された安全性と肝臓の組織学的変化や酵素変化は、SCD1調節をNASHおよび繊維症の有望な治療法とすることの論理的根拠となり、現在進行中の第3相プログラムで評価が行われている。

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