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NAFLD:非アルコール性脂肪性肝疾患患者でのACC阻害剤の単剤投与あるいはDGAT2阻害剤との同時投与:2つの並行プラセボ対照無作為化第2a相試験

Nature Medicine 27, 10 doi: 10.1038/s41591-021-01489-1

脂質代謝の変化は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の発症の一因となっている可能性がある。しかし、NAFLDの治療に対して米国あるいは欧州連合で現在承認されている薬剤はない。今回並行して行われた2つの第2a相研究では、成人NAFLD患者で肝臓でのACC1/2阻害の有効性が調べられた。第1の試験(NCT03248882)では、新規なACC1/2阻害剤であるPF-05221304の単剤投与[2、10、25、50 mgを1日1回(QD)投与]を16週間行った場合の効果が、プラセボ群との比較により調べられた。第2の試験(NCT03776175)では、PF-05221304[15 mgを1日2回(BID)]をDGAT2阻害剤であるPF-06865571(300 mg BID)と同時に6週間にわたって投与した場合の効果が、プラセボ群との比較により調べられた。両方の試験での主要評価項目は、肝脂肪のベースライン値からの百分率変化の磁気共鳴画像化–プロトン密度脂肪分率による評価であった。PF-05221304の単剤投与では、10 mg QD以上の用量で肝脂肪の用量依存的減少が50~65%となり、最小二乗平均(LSM)の80%信頼区間(CI)は、16週目でプラセボ群が−7.2(−13.9、0.0)、PF-05221304 2 mg群が−17.1(−22.7、−11.1)、10 mg群が−49.9(−53.3、−46.2)、25 mg群が−55.9(−59.0、−52.4)、50 mg群が−64.8(−67.5、−62.0)であった。有害事象(AE)の全発生率は、PF-05221304の用量増加に伴っての増加はなかったが、例外として23/305人(8%)の患者で血清トリグリセリド濃度[肝臓のアセチル-コエンザイムAカルボキシラーゼ(ACC)阻害の結果であることが知られている]が用量依存的に上昇し、13/305人(4%)が休薬に至った他、他の血清脂質も用量依存的に上昇した。PF-05221304とPF-06865571の同時投与では、肝脂肪がプラセボ群と比較すると減少した[プラセボ群で補正後のLSM(90%CI)は−44.6%(−54.8、−32.2)]。肝脂肪のプラセボ補正後のLSM(90%CI)減少は、PF-05221304の同時投与では6週間の治療後に−44.5%(−55.0、−31.7)で、PF-06865571の単剤投与では6週間の治療後に−35.4%(−47.4、−20.7)であった。AEは、PF-05221304とPF-06865571の同時投与後に、10/28人(36%)で報告されたが、AEによる中止はなく、ACC阻害剤が仲介した血清トリグリセリドへの影響が軽減されたことから、PF-05221304とPF-06865571の同時投与は、ACC阻害剤単剤投与の限界にある程度対処できる可能性が考えられた。

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