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HIV-1:HIV-1曝露前予防のためのイスラトラビル皮下インプラントの安全性と薬物動態:無作為化プラセボ対照第1相試験

Nature Medicine 27, 10 doi: 10.1038/s41591-021-01479-3

イスラトラビル(MK-8591)は非常に強力なヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)ヌクレオシド逆転写酵素転位阻害剤で、細胞内での半減期が長く、HIV-1の予防と治療用に開発が行われている。我々は、HIV-1に感染していない成人で無作為化二重盲検プラセボ対照第1相試験を行った。参加者はイスラトラビルもしくはプラセボの皮下インプラントを12週間にわたって埋入し、この期間を通して、またインプラント抜去後にも観察が続けられた。主要評価項目(co-primary end points)は、イスラトラビルインプラントの安全性と耐容性、および末梢血単核球(PBMC)中でのイスラトラビル三リン酸の85日目での濃度をはじめとする薬物動態であった。副次評価項目は、PBMC中でのイスラトラビル三リン酸についての追加の薬物動態学的パラメーターとイスラトラビルの血漿中薬物動態プロファイルが含まれていた。前臨床データに基づいて、54 mg(n = 8、プラセボ投与は2人)と62 mg(n = 8、プラセボ投与は2人)の2種類の用量が評価された。最も高頻度に報告された有害事象は、インプラント部位での軽度から中等度の反応(硬結、血腫、疼痛)であった。12週間の試験期間を通して、イスラトラビル三リン酸の幾何平均濃度は、106個のPBMC当たり0.05 pmolという薬物動態学的閾値を超えており、治療レベルの逆転写酵素阻害を起こせると推定された[85日目の濃度(幾何平均変動係数のパーセント):用量54 mgのグループでは106個の細胞当たり0.135 pmol(27.3)、用量62 mgのグループでは106個の細胞当たり0.272 pmol(45.2)]。いずれの用量のイスラトラビルインプラントも安全で、12週間にわたって薬物動態学的閾値を超えた平均濃度となり、イスラトラビルインプラントをHIV予防戦略候補としてさらに調べることの正当性が示された。

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