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三日熱マラリア:三日熱マラリアへの最近の感染を検出するための血清診断マーカーの開発と検証

Nature Medicine 26, 5 doi: 10.1038/s41591-020-0841-4

三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)根絶戦略の大きな弱点となっているのは、臨床的には無症状で現在の診断法では検出できない、肝臓内で休眠体(ヒプノゾイトと呼ばれる)となった原虫の保有者を特定する手段がないことである。本研究では、三日熱マラリア原虫に最近感染した患者(休眠型を肝臓内に保持している可能性が高い)の特定を可能にする血清診断マーカーとなる抗原セットの開発について報告する。我々は、タイとブラジルで実施された縦断的臨床コホートで、三日熱マラリア原虫の342種類のタンパク質に対するIgG抗体の反応を測定し、最近の感染を予測できる血清診断マーカー候補を特定した。次いで、タイ、ブラジル、およびソロモン諸島で実施された1年間の観察コホートで得られた血清試料を用いてマーカー候補を検証した結果、三日熱マラリア原虫の8種類のタンパク質に対する抗体反応が、80%の感度と特異性で過去9か月間の三日熱マラリア原虫感染を類別することができた。数理モデルによれば、この血清診断を導入した治療戦略は、三日熱マラリア原虫の有病率を59~69%低下できることが示された。従って、これら8種類の抗体反応は、休眠型保有者を特定し治療対象とするためのバイオマーカーとして用いることができる。

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