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創薬:無快感症の治療薬としてκオピオイドの拮抗作用を評価するための、「fast-fail」法を適用した無作為化作用機序検証試験

Nature Medicine 26, 5 doi: 10.1038/s41591-020-0806-7

米国立精神衛生研究所(NIMH)の「fast-fail」試験法(短期間で開発の成否を検証し判断するための高効率の戦略)は、早期第2a相試験にバイオマーカーを基盤とする作用機序検証(proof-of-mechanism:POM)試験を組み込むことにより、間違いが非常に多い創薬初期段階を改善することを目的としている。「fast-fail」法の最初の包括的な適用となるこの試験では、κオピオイド受容体(KOR)の拮抗作用が無快感症の治療に使える可能性が、標的分子へのロバストな結合が臨床効果を仲介すると仮定されている脳回路に望ましい影響を与えるかどうかを決定するPOM研究によって評価された。本論文では、無快感症と気分障害または不安障害の患者を対象とした、多施設、8週間、二重盲検、プラセボ対照、無作為化臨床試験〔選択的KOR拮抗薬(JNJ-67953964、10mg;n = 45)およびプラセボ(n = 44)〕の結果を報告する。JNJ-67953964は、プラセボと比較して、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)によって測定された報酬への期待の際の腹側線条体活性化(主要評価項目)を大きく上昇させた〔ベースライン補正平均:JNJ-67953964、0.72(s.d. = 0.67);プラセボ、0.33(s.d. = 0.68);F(1,86) = 5.58、P < 0.01;効果量 = 0.58(95%信頼区間;0.13~0.99)〕。JNJ-67953964は一般に耐容性が良好で、重篤な有害事象と関連しなかった。この研究は、標的結合の臨床的影響の評価の続行を支持し、また「fast-fail」法実行のためのモデルとなる。

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