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HIV:HIV-1感染超急性期における多細胞性免疫動態の統合的単一細胞解析

Nature Medicine 26, 4 doi: 10.1038/s41591-020-0799-2

細胞性免疫は細胞内病原体の抑制に重要だが、ヒト免疫応答の誘導における個々の細胞の動態や細胞間の協調については解明が進んでいない。単一細胞RNA塩基配列解読(scRNA-seq)は、健常時と疾患時の複雑な多細胞挙動を解明し、分析可能な治療標的を選び出すための強力な手法である。scRNA-seqを縦断的サンプルに適用することによって、交絡する可能性のある個人間の変動なしで、病気の進行の展開に関連する細胞性因子を明らかにする機会が得られる可能性がある。我々はscRNA-seqを使って動的な細胞のプログラムとその分子ドライバーを明らかにする実験方法と計算的方法を開発し、HIV感染に適用した。未治療の4名の患者から急性感染期の前、および急性感染期中に縦断的に採取された末梢血単核球にこの方法を適用することで、それぞれに対して時間と細胞のサブセットによって変化する遺伝子応答モジュールを見つけ出すことができた。さらに、これまで評価されていなかった個体特異的な、また細胞種特異的なインターフェロン誘導遺伝子の発現上昇に加えて、バルク解析では隠されていた、時系列に沿って起こる遺伝子発現応答〔炎症性T細胞の分化、単球での主要組織適合抗原複合体IIの発現上昇の延長、ナチュラルキラー(NK)細胞の持続的な細胞傷害活性など〕について述べる。我々はまた、感染の最初の数週間に生じる応答の特徴(例えばNK細胞の増殖)を明らかにした。これらは将来のウイルス抑制と関連する可能性がある。まとめると、我々の手法は、多くの動的な細胞応答とその協調を特徴付けるための統一した枠組みをもたらす。

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