Article

がん治療:進行性腎細胞がんでのアベルマブ・アキシチニブ併用とスニチニブとの比較:第3相JAVELIN Renal 101試験のバイオマーカー解析

Nature Medicine 26, 11 doi: 10.1038/s41591-020-1044-8

本論文では、第3相JAVELIN Renal 101試験(n = 886、NCT02684006)からの治療前腫瘍検体の分子解析について報告する。この試験では、進行した腎細胞がん(aRCC)治療で第一選択であるアベルマム・アキシチニブ併用は、スニチニブを使った場合に比べて、無増悪生存期間(PFS)が大幅に延長することが実証された。通例評価されるバイオマーカーのPD-L1(programmed cell death ligand 1)の発現と腫瘍変異負荷はどちらも、いずれの試験群でもPFSの差異に影響しないことが分かった。同様に、Fcγ受容体の一塩基多型は大きな影響を与えなかった。我々は、免疫調節と血管新生に関わる遺伝子の新しい発現シグネチャー(GES)、これまで報告されたことのない変異プロファイルやそれに対応するGES、複数のHLAタイプなど、治療群の間でのPFSの差異と関連する重要な生物学的特徴を明らかにした。これらの知見は、PD-1/PD-L1と血管新生経路を組み合わせて阻害することに対する応答の決定因子についての手掛かりをもたらし、aRCC患者のケア改善のための戦略開発に役立つだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度