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HIV:異なる共刺激ドメインを持つデュアルCD4を基盤とするCAR T細胞はin vivoでHIVの病原性を減弱する

Nature Medicine 26, 11 doi: 10.1038/s41591-020-1039-5

HIV治癒のための有効な戦略には、強力かつ持続性のある抗ウイルスT細胞応答が必要と考えられる。今回我々は、CD4細胞外ドメインを発現することでHIVエンベロープに対する特異性を持つキメラ抗原受容体(CAR)T細胞が、BLTヒト化マウスでHIVが誘導した病原性を軽減するのに有用かどうかを検討した。4-1BB/CD3-ζ細胞内ドメインを発現するCAR T細胞は、抗レトロウイルス治療を中断後のウイルスリバウンドやCD4+ T細胞の消失を防ぐのに十分ではなかった。我々はこのCAR T細胞製剤の改良を繰り返すことで、4-1BB/CD3-ζとCD28/CD3-ζの両方の細胞内ドメインを同時に発現させたDual-CAR T細胞を開発した。このDual-CAR T細胞は、4-1BBやCD28、あるいは、第三世代の共刺激分子を組み込んだCAR T細胞を超えた増殖動態を示し、CD28で共刺激されたCAR T細胞と等価のエフェクター機能を誘導し、ウイルス血症が持続しているにもかかわらずHIVによるCD4+ T細胞の消失が抑えられた。さらに、Dual-CAR T細胞がC34-CXCR4融合阻害因子の発現によってHIV感染から守られた際には、このような細胞は急性期ウイルス血症を大幅に抑制し、また抗レトロウイルス治療が続いている間にもHIV抑制を促進し、組織中のウイルス量を減少させた。まとめると、今回の研究は、HIV感染を効率よく治療できる新規なDual-CAR T細胞製剤の強化された治療能力を実証するものである。

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