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脂肪代謝/心血管疾患:内臓脂肪過多への遺伝的要因の関与と心血管代謝疾患へのその関連

Nature Medicine 25, 9 doi: 10.1038/s41591-019-0563-7

内臓周囲に蓄えられた脂肪である内臓脂肪組織(VAT)は、心血管代謝疾患だけでなく全死因死亡率、心血管特異的死亡率、がん特異的死亡率に対しても独立したリスク因子であると考えられてきた。しかし、VATに対する遺伝的要因の関与や、疾患に関連するその影響についてはほとんど調べられていない。それはVATの正確な計測には高度な画像化技術が必要だからである。今回我々は、英国バイオバンクコホートを用いて、VAT量に対する男女別に階層化した非線形予測モデル〔決定係数 = 0.76;典型的な95%信頼区間(CI)= 0.74–0.78〕を開発した。我々は、予測されたVAT量に対するゲノム規模関連解析を行い、内臓脂肪過多に関連する102の新規な座位を明らかにした。予測されたVAT量は、高血圧、心臓発作/狭心症、2型糖尿病、高脂血症のリスク増加と関連していて、メンデルランダム化解析では、内臓脂肪が4つの疾患全ての因果リスク因子であることが明らかになった。特に、2型糖尿病に対しての因果関係に大きな性差が見つかり、女性のオッズ比が7.34(95% CI = 4.48–12.0)であるのに対して、男性のオッズ比は2.50(95% CI = 1.98–3.14)だった。我々の知見は、内臓脂肪過多の役割がおそらくは独立したリスク因子であることを支持しており、特に白人女性の2型糖尿病の場合にそう言えることを裏付けている。今回の知見が他の人種や英国国外にも適用できるかどうかを明らかにするには、他のコホートで独立した検証を行う必要がある。

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