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HIV:ヒト化マウスモデルで有効性が見られた、非常に強力な長時間作用性の低分子HIV-1カプシド阻害剤

Nature Medicine 25, 9 doi: 10.1038/s41591-019-0560-x

PLWH(People Living With HIV:HIVと共に生きる人々)は、毎日の服薬から連想される一生続く重荷と感染者という烙印を心配し続ける上、薬物療法による疲労に悩まされることがある。これらは不完全な服薬アドヒアランスを招き、さらに薬剤耐性ウイルス変異体の出現につながって将来の治療選択肢が制限される結果となりかねない。従って、服薬の間隔がより長くて済む長時間作用性の抗レトロウイルス(ARV)薬には強い関心が集まっている。今回我々は、新規な小分子HIVカプシド阻害剤の原型であるGS-CA1について報告する。GS-CA1は、HIV-2およびHIV-1の主要なタイプ全て(現在臨床で使用されているARVに抵抗性を示すウイルスバリアントを含む)に並外れた有効性を発揮する。作用機序の研究から、GS-CA1はHIV-1カプシドに直接結合し、ウイルスDNAの核へのカプシドを介する取り込み、HIV粒子産生と秩序だったカプシド組み立てを阻害することが示された。GS-CA1は、in vitroで他種類のARVに十分な感受性を維持しているGS-CA1抵抗性の不適切なカプシドバリアントを選択できる。GS-CA1の代謝安定性や低溶解性は高く、マウスでは単回の皮下投与後の持続的な薬剤放出が可能であった。GS-CA1はHIV-1感染のヒト化マウスモデルでの作用は持続的であり、注射による投与が可能な単剤治療治療として高い抗ウイルス効果を発揮し、持続性のあるリルピビリンよりも効果が優れていることが分かった。まとめると、これらの結果は、非常に強力なカプシド阻害剤が、HIV-1感染治療のための新規な持続作用型薬剤となる可能性を実証している。

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