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認知症:一般集団での遺伝的素因、修飾可能なリスク因子プロファイルと長期的な認知症リスクの関係

Nature Medicine 25, 9 doi: 10.1038/s41591-019-0547-7

認知症の正確な原因はまだ明らかになっていないが、遺伝因子や生活様式因子は共に、この複雑な疾患の主要な推進因子だと考えられている。認知症発症の家族的パターンが認定されたことは、この病気の病因に関わる遺伝因子の発見につながった。こうした遺伝子の中にはアポリポタンパク質E(APOE)の遺伝子型をはじめとした多数の遺伝子バリアントが含まれていて、その数は増加し続けている。遺伝的構成以外にも、複数の修飾可能なリスク因子が認知症の発生に関与するとされている。認知機能低下を止めたり遅らせたりする手段に関する予防試験では、遺伝的に認知症になりやすい高齢者を募集することが増えてきている。しかし、健康や生活様式への標的を定めた介入が、高まった遺伝学的リスクを低下させたり、さらには消し去ったりできるのかどうかは、まだ分かっていない。今回我々は、集団ベースのロッテルダム研究で55歳以上の6352人から得られた、遺伝的リスク因子と修飾可能なリスク因子の両方に対する長期的なデータを利用して研究を行った。我々の研究では、遺伝的リスクの低い被検者と中程度の被検者では、修飾可能リスクのプロファイルが好ましい方が、好ましくない場合に比べて、より低い認知症リスクと関連することが明らかになった。対照的に、このような防護的関連性は、遺伝的リスクの高い被検者では見られなかった。

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