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がん治療:収斂するMAPK経路の活性化が仲介するTRK阻害抵抗性

Nature Medicine 25, 9 doi: 10.1038/s41591-019-0542-z

TRKの融合はがんのさまざまなタイプで見られ、がん遺伝子依存性へとつながり、TRK阻害のがん種にとらわれない有効性が強く予測される。最初の選択的TRK阻害剤であるラロトレクチニブが、どんなものであれTRK融合陽性の成人あるいは小児患者の固形腫瘍に対して最近認可されたことで、初期応答後に治療の効果が見られなくなる機構の特定が治療に直接的に関連するようになった。これまでに知られている唯一の抵抗性機構は、TRKキナーゼドメインのオンターゲット変異の獲得であり、これは薬剤の結合を妨げ、次世代TRK阻害剤によっておそらく対応できると考えられる。今回我々は、TRK阻害剤による治療を受けた患者と患者由来モデルで見られたオフターゲット抵抗性が、MAPK(mitogen-activated protein kinase)経路の活性化に収斂するゲノム変化を介して起こるものであることを報告する。MAPK経路を標的とする薬剤は、単独投与もしくはTRK阻害剤と併用することでがんの制御を復元させた。実験モデルではさらに、先行してTRKとMEKを二重阻害することが、ゲノムにMAPK経路を活性化する変化が起こりやすいがんタイプでがんのプログレッションを遅らせる可能性が示唆された。これらのデータをまとめると、一部の患者では、TRK阻害に対する抵抗性のオフターゲット機構が生じる可能性が考えられ、これらは臨床管理や将来的な臨床試験設計に影響する可能性がある。

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