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蚊が媒介する感染症研究にかかる法外なコストを凍結保存技術で削減する

Nature Medicine 25, 7 doi: 10.1038/s41591-019-0484-5

マラリアやデング熱のような蚊に媒介される病気の罹患者数は年間7億人を超えており、蚊を根絶するためにさまざまな努力がなされている。しかし、蚊とそれが媒介する感染症の研究者にとっては、蚊の安定供給の確保が重大な問題なのだ。蚊を輸入するには高額な費用がかかり、実験室で飼育するには特別な飼育場を作って世話をしなくてはならず、どちらも決して容易ではない。蚊は、世界的に大被害をもたらす元凶であるにもかかわらず、かなり繊細な生き物であって、長距離の移動に弱く、屋内での生活になじみにくいのである。そこで、蚊の確保にかかる法外なコストを下げるために、極低温での保存というハイテクによる解決法が、現在注目を集めている。血液銀行や体外受精用での卵の保存に使われているのと似たこの保存法がうまく行くかどうかはまだ「運頼み」の段階だが、もし成功すれば、費用も手間も大幅に削減できるだろう。凍結保存技術などの新手法の成功は、命を救う薬剤やワクチンの開発のスピードアップに直結しているのである。

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