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リンパ管疾患:ARAFの反復変異はMEK阻害剤で治療可能なリンパ管腫症を引き起こす

Nature Medicine 25, 7 doi: 10.1038/s41591-019-0479-2

病因がほとんど分かっていない希少で深刻な疾患スペクトラムであるリンパ管腫症の治療は、患者の症状によって決められる。この疾患の原因遺伝子が見つかれば、精密医療の実現と合わせて実行可能な治療法を開発することができるだろう。今回我々は、従来のシロリムス治療に対して応答が見られない、進行性リンパ管異常疾患の12歳の患者とこれとは血縁関係のない成人患者で、ARAFの機能獲得型反復変異(c.640T>C:p.S214P)が生じていることを見いだした。この変異は、保存されたリン酸化部位の喪失につながった。ARAF-S214Pを導入した細胞では、ERK1/2活性の上昇、リンパ脈管新生の増大、アクチン骨格とVEカドヘリンジャンクションの崩壊が見られ、それらはMEK阻害剤トラメチニブの使用により回復した。機能とこの変異との関連は、ゼブラフィッシュモデルの1つでのリンパ管表現型の再構築と、MEK阻害剤の使用による異常表現型の回復によっても実証された。発端者では、MEK阻害剤を用いたその後の治療が、リンパ浮腫の解消、肺機能検査結果の著しい改善、酸素補給の必要性の解消や日常活動のおおよその正常化などを伴う、リンパ系の再構築によって顕著な臨床的改善をもたらした。今回の結果は、遺伝的分類の知識と発症機序の解明が、生物学に基づいた医療処置につながる仕組みを示す典型例であり、本症例ではこのような処置が救命をもたらす結果となった。

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