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免疫:細菌相治療は制御性T細胞のMyD88/RORγt経路を介して作用して食物アレルギーを抑制する

Nature Medicine 25, 7 doi: 10.1038/s41591-019-0461-z

食物アレルギー(FA)にディスバイオーシス(腸内細菌相の異常)が果たす役割はまだ明らかになっていない。我々は、FAの幼児のディスバイオーシス状態の糞便中細菌相は、時間とともに構成が変化し、マウスでのFAを防止できないことを見いだした。FAの幼児やマウスでは、糞便中細菌に結合しているIgAは減少し、IgEは増加していて、これは経口免疫寛容がこれまで認識されていたよりも広く破綻していることを示している。ディスバイオーシスによって影響を受けるクロストリジウム綱の細菌を使う治療は、コンソーシアムとしてであっても、Subdoligranulum variabile単独による治療であっても、免疫調節作用のあるバクテロイデス目の細菌コンソーシアムと同じく、マウスのFAを抑制した。細菌治療は、制御性T(Treg)細胞による転写因子ROR-γtのMyD88依存的な発現を誘導した。ROR-γtはFAの幼児やマウスでは欠損していて、FAの腸内細菌相によっては効率よく誘導されない。Treg細胞でMyd88Rorcを欠損させると、細菌治療による防御効果が失われた。従って、共生細菌は新生Treg細胞でMyD88/ROR-γt経路を活性化させてFAを防御しているが、ディスバイオーシスはこのような調節性応答を阻害して疾患発症を促進する。

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