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がん:大腸がんのメタゲノムとメタボローム解析によって明らかになった、腸内微生物相の病期(ステージ)特異的に異なる特徴

Nature Medicine 25, 6 doi: 10.1038/s41591-019-0458-7

散発性大腸がんのほとんどの症例は、形態変化と並行してゲノム変化を伴う多段階発がん過程を経る。さらに、ヒトの腸内マイクロバイオームが大腸がん発症に関与していることを示唆する報告が相次いでいる。本論文では、大腸内視鏡検査を受けた616人からなる大規模コホートの糞便試料について、メタゲノム研究およびメタボローム研究を行い、腸内微生物相の系統組成と機能、代謝物質の特徴を評価した。進行した大腸がんに加えて、多発性ポリープ状腺腫、粘膜内がんの症例で、マイクロバイオームやメタボロームの変動が明らかとなった。マイクロバイオームの増加には異なる2つのパターンがあることが見いだされた。第一は、Fusobacterium nucleatum種の相対量が、粘膜内がんから病期が進行するとともに持続的に有意に上昇した(P < 0.005)。第二は、粘膜内がんに共存しているAtopobium parvulumActinomyces odontolyticusは、多発性ポリープ状腺腫と粘膜内がんでだけ有意に上昇していた(P < 0.005)。メタボローム解析からは、分枝鎖アミノ酸とフェニルアラニンが粘膜内がんで有意に増加していること(P < 0.005)、また、デオキシコール酸を含む胆汁酸が多発性ポリープ状腺腫や粘膜内がんで有意に増加していること(P < 0.005)が示された。我々はまた、粘膜内がんの症例と健常者コントロールとを鑑別するメタゲノムおよびメタボロームのマーカーを特定した。我々の大規模コホートマルチオミクスデータは、マイクロバイオームとメタボロームの変動が大腸がん発症のごく初期段階から生じ、これが病因や診断に重要である可能性を示している。

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