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遺伝子診断:血液トランスクリプトーム塩基配列解読と大規模な対照コホートの使用による希少疾患遺伝子の特定

Nature Medicine 25, 6 doi: 10.1038/s41591-019-0457-8

まれな疾患に罹患しているヒトの数は世界中で3億5000万人と推定されていて、その多くは単一の遺伝子に生じた変異が原因である。最も成功率の高い診断法の1つである全エキソーム塩基配列解読(WES)による現在の分子診断率は、50%と見込まれている。WESから情報が得られない患者では、RNA塩基配列解読(RNA-seq)が特定の組織や疾患の診断に有用であることが示されている。このような組織や疾患には、未診断疾患であるまれな筋疾患患者での筋生検や、ミトコンドリア病患者由来の繊維芽細胞培養などが含まれる。しかし、多くの患者で、臨床ケアのために生検が行われることはなく、組織の入手は難しい。我々は今回、さまざまな病態生理を示す希少疾患の診断手段として、血液試料を用いるRNA-seqの実用性の評価を試みた。16種類の異なる疾患カテゴリーにわたる未診断の希少疾患の患者94人から全血RNA-seqを作製した。我々は、これらの被検者からのデータを、対照群(n = 1594の血縁関係のない対照群およびn = 49の家族対照群)からのRNA-seqデータの大規模セットと比較するロバストな方法を開発し、発現、スプライシング、遺伝子、バリアントのフィルタリング戦略が疾患遺伝子特定に及ぼす影響を明らかにした。今回のコホート全体で、RNA-seqによって7.5%という診断率が得られ、さらに16.7%について候補遺伝子の解明が進んだ。

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