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個別化医療:プレシジョン・ヘルスのためのビッグデータを用いる縦断的手法

Nature Medicine 25, 5 doi: 10.1038/s41591-019-0414-6

プレシジョン・ヘルス(個別化されたヘルスケア)は、個人レベルでの疾患リスク評価や前臨床的初期症状の検出、それらによる予防戦略の開始が可能であることによっている。オミクスやウエアラブルモニタリングに関する最近の技術の進歩は、分子レベルや生理学レベルでのディーププロファイリングを可能にし、プレシジョン・ヘルスでの重要な手段となると考えられる。我々は、2型糖尿病のリスクが高い被験者を集めた前向き縦断コホート(n = 109)で、健康関連の発見、臨床に関連する分子経路の特定、および行動への影響を明らかにする縦断的ディーププロファイリングの能力について調べた。このコホートでは、最長で8年(中央値は2.8年)にわたって3か月ごとに集めた試料を使って、統合的な個別化オミクスプロファイリングが行われた。解析には、臨床での測定値と、ゲノム、イムノーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボローム、マイクロバイオーム、ウエアラブルモニタリングなどの新技術が用いられている。健康に関して臨床的に対応可能な67以上の発見があり、代謝や心血管系、がんの病態生理学に関与する複数の分子経路が明らかになった。我々は、オミクス測定を用いることで、インスリン抵抗性に対する予測モデルを開発し、これらが負担の大きい検査の代わりになり得る可能性がはっきりした。また、参加者の大半は研究へ参加したことで食餌と運動に変化が起こった。以上のことから、縦断的ディーププロファイリングは、健康に関する対処可能な発見につながり、プレシジョン・ヘルスに関連する情報をもたらすことができると我々は結論する。

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