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がん治療:ネオアジュバント抗PD-1免疫療法は再発グリオブラストーマで腫瘍内および全身性の免疫応答により延命効果を高める

Nature Medicine 25, 3 doi: 10.1038/s41591-018-0337-7

グリオブラストーマは成人で最もよく見られる原発性悪性脳腫瘍で、生存率は低い。Ivy財団の早期臨床試験コンソーシアム(Early Phase Clinical Trials Consortium)は、複数の研究機関で無作為化臨床試験を行って、外科的切除が可能な再発グリオブラストーマ患者35人について、ペンブロリズマブを用いたネオアジュバント療法やアジュバント療法を行った後の免疫応答と生存を評価した。無作為に選ばれてペムブロリズマブ投与によるネオアジュバント療法を受け、外科手術後にもアジュバント療法を継続した患者は、アジュバント療法として手術後にPD-1(programmed cell death protein 1)阻害薬投与のみを受けた患者と比較すると全生存期間が大幅に延長した。ネオアジュバント療法としてのPD-1阻害は、T細胞関連遺伝子やインターフェロンγ関連遺伝子の発現上昇(アジュバント療法のみを受けた患者では見られなかった)と関連付けられたが、腫瘍内での細胞周期関連遺伝子の発現低下とは関連付けられなかった。腫瘍微小環境内でのPD-L1(programmed death-ligand 1)の局所的誘導、T細胞のクローン性増殖亢進、末梢血T細胞でのPD-1発現の低下、および単球集団の減少は、ネオアジュバント群の方で、アジュバント療法のみの治療を受けた患者よりも頻繁に観察された。これらの知見は、PD-1阻害薬のネオアジュバント療法としての投与が、局所性および全身性の両方の抗腫瘍免疫応答を増強し、一様に致死性が高いこの脳腫瘍の治療に対するより効果的な手法となり得ることを示唆している。

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