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神経変性疾患:ミクログリアによって誘発されるA1アストロサイトへの変換の阻止はパーキンソン病モデルで神経保護的に働く

Nature Medicine 24, 7 doi: 10.1038/s41591-018-0051-5

古典的な炎症メディエーターによるミクログリアの活性化は、さまざまな神経疾患でアストロサイトを神経毒性のA1表現型へと変換することがある。A1反応性アストロサイトの形成を阻害できる薬剤が開発されれば、疾患修飾療法が存在しないこの種の疾患の治療に使えるかもしれない。一方、GLP1R(glucagon-like peptide-1 receptor)のアゴニストは、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患に対する神経保護薬になる可能性が示されているが、このアゴニストが神経保護作用を発揮する機構についてはまだ分かっていない。今回我々は、脳浸透性で長時間作用する強力なGLP1RアゴニストであるNLY01が、孤発性パーキンソン病のα-シヌクレイン既形成原繊維(α-syn PFF)マウスモデルで、ドーパミン作動性ニューロンの喪失と行動障害に保護的に働くことを示す。NLY01はまた、α-シヌクレイノパチー誘導性神経変性のモデルであるヒトA53T α-シヌクレイン(hA53T)トランスジェニックマウスで、寿命を延長し、行動障害と神経病理学的異常を軽減した。さらに、強力なGLP1RアゴニストであるNLY01には、ミクログリアが仲介するアストロサイトのA1神経毒性表現型への変換を直接阻害して神経保護的に働くという、望ましい性質があることも明らかになった。こうした良好な特性からすると、NLY01はパーキンソン病や、ミクログリア活性化を特徴とするパーキンソン病関連の神経疾患の治療に関して評価を行うべきと考えられる。

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