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がん治療:単球由来のIL-1とIL-6はCAR T細胞によるサイトカイン放出症候群と神経毒性に異なる形で必要とされる

Nature Medicine 24, 6 doi: 10.1038/s41591-018-0036-4

キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR T)療法は、臨床では生命を脅かすサイトカイン放出症候群(CRS)や神経毒性を伴うことが多い。このような病態の性質解明と治療法開発は、適切な動物モデルがないことによって妨げられている。本論文では、CRSと神経毒性の重要な特徴を再現するマウスモデルを示す。重症の白血病を発症しているヒト化マウスにおいて、CAR T細胞を介するがんの排除は、CRSの代表的な特徴である高熱とIL-6レベルの上昇を引き起こした。CRSの際のIL-1やIL-6の主要な産生細胞はヒト単球であった。従って、この症候群は単球の除去、あるいはトシリズマブによるIL-6受容体の機能遮断によって抑えられた。しかし、トシリズマブは、髄膜の炎症を特徴とする遅発性の致死的な神経毒性がマウスで生じるのは防止できなかった。一方、IL-1受容体のアンタゴニストであるアナキンラは、CRSと神経毒性の両方を阻止し、無白血病生存状態がかなり延長された。これらの結果は、神経毒性に対抗する治療戦略を示しており、より安全なCAR T細胞療法へつながる新たな道を開く。

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