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幹細胞:骨髄でのアドレナリン作動性神経の変性は造血幹細胞ニッチの老化を引き起こす

Nature Medicine 24, 6 doi: 10.1038/s41591-018-0030-x

造血幹細胞(HSC)の老化はその再生能や分化多能性の低下に関連しており、血液疾患発生の一因となっている。最近、骨髄微小環境がHSCの老化に影響を及ぼすと考えられるようになったが、その基盤にある機構はほとんど分かっていない。本論文では、HSCの老化は交感神経系(SNS)による骨髄の神経支配に強く依存していることを示す。これは、若齢マウスの骨髄微小環境でのSNS刺激あるいはアドレナリン受容体β3シグナル伝達の喪失がHSCの早期の老化につながり、また生理的な老化に類似したHSC表現型が出現することで証明された。意外にも、アドレナリン受容体β3に選択的に作用する交感神経刺激剤を老齢マウスに投与すると、老化したHSCのin vivoでの機能が相当度若返ることから、老化の際にSNSによる骨髄の神経支配を維持あるいは回復させることが、HSCを若返らせる新しい戦略になる可能性がある。

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