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がん:慢性リンパ性白血病の参照エピゲノムと調節クロマチンの全体像

Nature Medicine 24, 6 doi: 10.1038/s41591-018-0028-4

慢性リンパ性白血病(CLL)はよく見られる血液腫瘍で、その基盤となっているエピジェネティックな変化については部分的にしか分かっていない。今回我々は、B細胞の正常な分化が起こる状況下で、7例の原発性CLLの参照エピゲノムと107例の原発性CLLでの調節クロマチンの全体像を解析した。CLLクロマチンの全体像は主に、正常なB細胞成熟の間に異なる動態により影響を受けることが明らかになった。さらに我々は、CLL全体、またIGHV体細胞超変異レベルにより分類される主要な臨床生物学的サブタイプにおいて、de novoに再プログラム化された調節エレメントの大規模なカタログを明らかにした。また、IGHVに変異のないCLLは、IGHVが変異している場合に比べると、より活性型でよりオープンなクロマチンを持っていることも分かった。さらに、CLLのde novoに活性化される領域は、NFAT、FOX、TCF/LEF転写因子ファミリーの結合部位が多いことも明らかになった。ほとんどの遺伝子変異は一貫したエピジェネティックプロファイルとの関連が見られないが、MYD88変異や12トリソミーを持つCLLは独特なクロマチン構造を示した。IGHV変異を持つCLLでのノンコーディング変異は、近接可能なクロマチンの外にあるH3K27ac関連調節エレメントに多く見られた。以上をまとめると、本研究はCLLエピゲノムの総合的な描像を示すもので、変化した調節エレメントの大規模なネットワークを突き止め、また疾患の遺伝学的およびエピジェネティックな構造間の関連性をはっきりさせている。

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