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HIV:HIV-1潜伏リザーバー内のクローン性CD4+ T細胞は再活性化時に独特な遺伝子プロファイルを示す

Nature Medicine 24, 5 doi: 10.1038/s41591-018-0017-7

潜伏性HIV-1プロウイルスは、抑制的な多剤併用抗レトロウイルス療法(ART)が行われていても、患者体内で生存し続ける。このような潜伏に使われるリザーバーは感染後48〜72時間以内に確立され、長い半減期を持ち、ARTが中断された際にはウイルスのリバウンドを可能にするため、HIV-1感染の治癒を妨げる主要な障壁となっている。ウイルスが潜伏している細胞は血液中では極めてまれであり(1 × 106個のCD4+ T細胞当たり1個程度)、ウイルス増殖アッセイのような間接的手法によって数えられることが普通である。本論文では、抑制的ARTを受けているHIV-1感染患者由来の再活性化潜伏細胞1個を単離精製し、解析するための新規な方法を報告する。まず、ウイルスエンベロープタンパク質の表面発現を用いてHIV RNAを産生する再活性化潜伏T細胞を濃縮し、無傷のウイルスを特定するために単一細胞解析を行った。再活性化潜伏細胞は、ウイルス増殖培養中に見いだされたものと同一の完全長ウイルスを産生しており、これらはin vivoで増殖したT細胞のクローンであることがT細胞受容体配列から明らかになった。また、遺伝子発現解析から、これらの細胞がウイルスのサイレンシングに関与するとされる遺伝子の発現を含む転写プロファイルを共有することが分かった。血液から単離された再活性化潜伏T細胞は、本来ならばHIV-1複製によって起動される細胞死経路の活性化を起こさずに細胞分裂を可能にする遺伝子発現プログラムを共有しているのではないかと我々は考えている。

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