Article

HIV:生殖器の炎症は女性のHIV感染防止におけるテノホビルゲルの効果を減弱させる

Nature Medicine 24, 4 doi: 10.1038/nm.4506

曝露前予防投与(PrEP)された抗レトロウイルス(ARV)薬はHIV感染を防止でき、防御の程度は−49%から86%の範囲であることが、複数の臨床試験で実証されている。結果がこのように大きくばらついていることは、主に服薬アドヒアランス(製品を患者が指示通り使用すること)の差異に起因すると考えられているが、生物学的要因も関与している可能性がある。予防試験の場合には感染リスクがより高い参加者を選択して集めているが、こうした高リスクグループ内でさえ、HIV感染リスクは不均一である。この不均一性がPrEP後の患者転帰に影響するかどうか調べるために、HIV感染に対する防御効果を実証する目的で行われた最初の試験の1つである、1%テノホビルゲルを使ったCAPRISA 004臨床試験(n = 患者774人)で得られた結果の事後前向き解析を行った。まず、2000回を超える来院時に測定された頸膣洗浄液中の9種の炎症誘導性サイトカインの濃度、および等級分けされたサイトカインスコアを使って、生殖器炎症の段階が決められた。生殖器炎症がない女性では、テノホビルはHIV感染に対する防御効果が57%(95%信頼区間(CI):~80%)だったが、生殖器炎症が存在する場合には3%(95%CI:−104~54%)だった。ゲルの使用指示が忠実に守られた場合は、炎症がない女性でのテノホビルによる防御効果が75%(95%CI:25~92%)であったのに対して、炎症がある女性では−10%(95%CI:−184~57%)だった。HIV感染リスクの免疫学的予測因子は、HIV感染予防手段の有効性を変化させる可能性があると考えられ、女性での生殖器炎症の軽減はHIV感染予防の努力を増強するかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度