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神経変性疾患:アンドロゲン受容体AF2ドメインの選択的調節は球脊髄性筋萎縮症で変性を回復させる

Nature Medicine 24, 4 doi: 10.1038/nm.4500

球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、アンドロゲン受容体(AR)の毒性の機能獲得変異によって引き起こされる運動ニューロン疾患である。我々は以前に、ARのAF2(activation function-2)ドメインを介した共調節因子の結合が発症機序に不可欠であることを見いだし、AF2がARの毒性活性を選択的に調節する薬剤の標的候補となる可能性を示唆した。また、我々が以前に行ったスクリーニングでは、SBMAのショウジョウバエ(Drosophila)モデルで、この毒性を救済できるAF2調節剤が見つかった。今回我々は、トルフェナム酸(TA)と1-[2-(4-メチルフェノキシ)エチル]-2-[(2-フェノキシエチル)スルファニル]-1H-ベンゾイミダゾール(MEPB)という2つの化合物が、SBMAショウジョウバエモデルでの致死性、運動機能、および神経筋接合部異常を救済するための最有力候補であることを突き止めた。マウスでの薬物動態解析から、筋、脳、脊髄では、MEPBの生物学的利用能や組織内保持能がTAより良好であることが示された。新しいSBMAマウスモデルでの前臨床試験では、MEPB投与は体重減少、ロータロッド活性、握力低下を投与量依存的に回復させた。さらに、MEPBはニューロン喪失、神経原性萎縮、精巣萎縮を軽減したので、AF2の調整がSBMA治療のための強力なアンドロゲン抑制戦略となることが確認された。

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