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がん:正の選択を受けたエンハンサーエレメントは骨肉腫細胞に転移能を与える

Nature Medicine 24, 2 doi: 10.1038/nm.4475

転移は腫瘍細胞が獲得した形質の複雑な組み合わせから起こるが、こうした組み合わせは腫瘍の形成に必要とされる組み合わせとは異なっている。本論文では、骨肉腫の転移表現型へのエンハンサー配列の関わりについて調べた。エピゲノムのプロファイリングから、原発性ヒト腫瘍と転移性ヒト腫瘍の間、また肺転移性が高い骨肉腫細胞株とそれとほぼ同系の非転移性骨肉腫細胞株の間では、エンハンサー活性に大きな違いがあることが分かった。我々は、このような領域をMet-VELs(metastatic variant enhancer loci)と命名した。Met-VELsは肺への転移定着の際に、遺伝子発現の協調した波を引き起こす。Met-VELsはゲノム中で非ランダムにクラスターを形成していて、このようなエンハンサーの活性と、エンハンサーが関連する遺伝子標的の発現が正の選択を受けていることが示された。薬理学的なBET阻害によるMet-VELs関連遺伝子発現の全体的中断、Met-VELsを占有するAP-1転写因子群のノックダウン、およびMet-VELsによって活性化される個々の遺伝子[例えば凝固第III因子/組織因子(F3)をコードする遺伝子など]のノックダウンまたは機能阻害によって骨肉腫の肺転移が抑制されることは、この因果関係を示す証拠となる。さらに、F3座位で単一のMet-VELを遺伝的に欠失させると、肺での転移細胞の増殖が阻害されることも明らかになった。これらの知見は、Met-VELs、またMet-VELsが調節する遺伝子群が転移に機能的役割を担っていることを示しており、これらは抗転移治療に適した標的になる可能性がある。

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