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生体医工学:腰仙髄神経ネットワークの神経修飾は完全対麻痺後の自立した歩行を可能にする

Nature Medicine 24, 11 doi: 10.1038/s41591-018-0175-7

身体麻痺患者において、脊髄損傷(SCI)により脳と機能的に切り離された脊髄の感覚運動ネットワークは、硬膜外脊髄電気刺激(EES)によってロバストで協調的な運動活性の回復が助けられる。我々は以前、下肢の完全な感覚運動麻痺の臨床例で、側臥位もしくは体重免荷システム(BWS)で垂直に釣り上げられた状態での起立能力や歩行様活動を制御する能力がEESによって回復したことを報告した。それ以来、EES存在下での動的な課題特異的トレーニング[マルチモーダルリハビリテーション(MMR)と呼ぶ]が43週間にわたって行われ、その結果、トレッドミル上での左右の足による歩行が、療法士の補助やBWSなしでできるようになった。また、バランス維持のために療法士が腰部を支えながら歩行補助車を使用した場合には、MMRにより床での自立的な歩行が可能になった。さらに、MMRは感覚運動ネットワークを働かせて、起立と歩行という動的行動を達成させた。これは、SCIにより下肢の感覚運動機能を完全に失った患者で、EES存在下での課題特異的トレーニングにより自立的歩行が可能になった、我々の知る限りで最初の報告である。

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