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生体医工学:ディープニューラルネットワークの復号用枠組みを使って脳–コンピューター・インターフェース使用者が期待する性能を実現する

Nature Medicine 24, 11 doi: 10.1038/s41591-018-0171-y

脳–コンピューター・インターフェース(brain–computer interface:BCI)という神経科学技術は、神経活動を翻訳して補装具を制御することにより、麻痺に関連する身体障害を軽減できる可能性がある。エンドユーザー候補者の調査から、BCIシステムに欠かせない重要な特徴は、高い精度、日ごとのセットアップが最小限に抑えられていること、応答性の速さ、多機能性などであることが明らかになっている。性能のこうした特徴は、主にBCIの神経復号アルゴリズムによって影響され、このアルゴリズムは神経の活性化パターンを使用者の意図した行動に関連付けるように訓練される。本論文では、上記の4つの重要な性能に向けた個々の動きを可能にする、BCIシステムのための新しいディープニューラルネットワークの復号用枠組みについて述べる。我々の復号器は高精度であり、こうした性能は教師なし更新処理手順の組み込みにより毎日の系統だった再訓練を行うことなく1年以上にわたって維持されること、競合する他の方法より応答が迅速であり、機能性の拡大は転移学習(transfer learning)として知られる技術を用いた最小限の再訓練の実施によって可能となることを実証するオフライン結果が、実験に参加した1人の四肢麻痺患者の皮質内データを用いて得られた。次いで、この実験参加者がリアルタイムでこの復号器を使って、麻痺している前腕を機能的電気刺激(FES)により動かし、GRT(grasp and release test)の3つの物体を正確に操作できることが示された。これらの結果は、ディープニューラルネットワークの復号器がBCI技術の臨床へのトランスレーションを促進させることを示している。

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