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免疫:D-マンノースは制御性T細胞を誘導し免疫病態を抑制する

Nature Medicine 23, 9 doi: 10.1038/nm.4375

グルコースのC-2エピマーであるD-マンノースは、天然物として多くの植物や果実中に存在し、グルコースの50分の1以下の濃度でヒトの血中にも認められる。T細胞代謝、糖尿病や肥満にグルコースが果たす役割は詳しく解明されているが、T細胞免疫応答におけるD-マンノースの機能は明らかになっていない。今回我々は、生理学的レベルを超える濃度(飲用水への添加によって安全に達成可能なレベル)のD-マンノースが、自己免疫性糖尿病および気道炎症のマウスモデルで免疫病態を抑制し、またマウスでFoxp3+制御性T細胞(Treg細胞)の割合を増加させることを示す。in vitroで、D-マンノースはヒトおよびマウスの細胞でのTGF-β活性化の促進によりTreg細胞分化を誘導した。D-マンノースによるTGF-β活性化には、インテグリンαvβ8の発現上昇と、脂肪酸酸化の増加により産生される活性酸素種が関わっている。D-マンノースのこれまで知られていなかったこの免疫調節機能については、免疫病態への臨床応用が考えられる。

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