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代謝:マウスで見られるコレステロールの胆汁酸への低温誘導性の変換は腸のマイクロバイオームを適合させ、適応性熱産生を促進する

Nature Medicine 23, 7 doi: 10.1038/nm.4357

適応性熱産生はエネルギーを必要とする過程であり、低温によって活性化されたベージュ脂肪細胞と褐色脂肪細胞によって起こり、炭水化物に加えてリポタンパク質由来のトリグリセリドやコレステロールのこれらの熱産生細胞への取り込み増加を伴う。今回我々は、マウスを低温に曝露すると、褐色脂肪組織(BAT)でのリポタンパク質プロセシングと、肝臓での胆汁酸合成副経路を介したコレステロールの胆汁酸への変換とを協調させる代謝プログラムが誘導されることを報告する。この過程は、CYP7B1(cytochrome P450, family 7, subfamily b, polypeptide 1)の肝臓での誘導に依存しており、結果として胆汁酸の血漿レベルの上昇と糞便中排泄量の増加が引き起こされ、これには腸の微生物相のはっきりした変化と熱産生増加を伴う。胆汁酸の合成および胆汁中排泄を標的とする遺伝学的および薬理学的介入を行うと、糞便中胆汁酸排泄量の増加が阻止され、腸の細菌構成が変化し、熱産生応答が調節された。これらの結果は、BATの活性化が維持される条件下では胆汁酸が重要な代謝エフェクターであることを明らかにしており、また、腸内微生物相やエネルギー代謝の食餌によって引き起こされる変化と宿主によるコレステロール代謝との関連を明確に示している。

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