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脊髄損傷:反応性アストロサイトとI型コラーゲンのインテグリン–N–カドヘリン経路を介した相互作用は、脊髄損傷後のアストロサイト瘢痕形成を誘導する

Nature Medicine 23, 7 doi: 10.1038/nm.4354

中枢神経系(CNS)の損傷は、ナイーブなアストロサイトを反応性アストロサイトに形質転換し、これが最終的に瘢痕形成アストロサイトとなって軸索再生や機能回復を障害する。この連続した表現型変化は反応性アストログリオーシスとして知られ、一方向性で不可逆的であるとずっと考えられてきた。しかし今回我々は、損傷を受けた脊髄から単離した反応性アストロサイトは、損傷を受けた脊髄に移植するとアストロサイト瘢痕を形成するが、ナイーブな脊髄に移植するとナイーブなアストロサイトに逆戻りし、これは反応性アストログリオーシスの環境依存性の可塑性を示していることを報告する。また、瘢痕形成期にはI型コラーゲンが脊髄に高発現しており、インテグリン–N–カドヘリン経路を介してアストロサイト瘢痕形成を誘導することも分かった。脊髄損傷のマウスモデルでは、反応性アストロサイトとI型コラーゲンの相互作用を薬理学的に遮断するとアストロサイト瘢痕形成が抑制され、これが軸索再生や運動機能の改善につながった。我々の知見は、アストロサイトの運命決定を調節する微小環境からの合図を明らかにしており、これはCNS損傷に対する有望な治療標的となると考えられる。

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