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糖尿病:メトホルミンは治療未経験の2型糖尿病患者の腸内マイクロバイオームを変化させ、これはメトホルミンの治療効果の一因となっている

Nature Medicine 23, 7 doi: 10.1038/nm.4345

メトホルミンは広く用いられている2型糖尿病(T2D)治療薬だが、その作用機作は十分解明されていない。最近得られた知見では、腸内細菌相がメトホルミンの作用部位であることが示唆されている。我々は、治療未経験の2型糖尿病患者をランダムに2グループに分け、それぞれのグループにプラセボまたはメトホルミンを4か月にわたって経口投与するという二重盲検試験を行い、メトホルミンが腸内マイクロバイオームに強い影響を与えることを明らかにした。この結果は、プラセボグループの一部に試験開始後6か月の時点でプラセボをメトホルミンに切り替えて投与することで確認された。メトホルミン投与を受けた患者の糞便サンプル(投与前および投与開始後4か月の時点で採取)を無菌マウスに移植すると、メトホルミンによって変化した微生物相を移植されたマウスでは耐糖能が改善することが分かった。メトホルミンと微生物相の相互作用を腸管シミュレーターを使って直接調べることで、2つの門由来の細菌種に共通する生物学的機能に関わる経路にメトホルミンが作用すること、またこれらの細菌種の遺伝子でメトホルミンによる調節を受けたものの多くが、金属タンパク質や金属輸送体をコードしていることが明らかになった。今回の知見は、腸内微生物相の変化がメトホルミンの抗糖尿病効果に関わっているという考えを裏付けるものである。

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