Editorial

不確実性の呪い

Nature Medicine 23, 5 doi: 10.1038/nm.4342

米国の科学研究関連予算の大幅削減案や英国のEU離脱による研究費補助の減額は、生物医学研究の進展を大きく遅らせると予想され、各方面に動揺をもたらしている。また、この2つの国では世界中からの非常に多くの科学研究者がトレーニングを受けたり、研究を行ったりしているが、このような国外研究者への今後のトレーニング、研究助成や雇用がどのようになるのか、それについても見通しは全く立っていない。こうした不確実な状況の中で非常に懸念されているのが、もっと好条件で働ける他分野への若手研究者の流出である。医学生物学分野の優秀な人材が失われることの結果はすぐには見えないかもしれないが、徐々に影響をもたらすだろう。こうした流れは、人材が枯渇し、次代の成長を担うものがいないという、取り返しのつかない結果になりかねない。科学研究費の削減は長い目で見れば節約にはならない。それは技術革新と世界経済の成長を阻害し、人類の健康に長く続く悪影響を及ぼす呪いとなるのである。

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