Analysis

がん:HRDetectは変異シグネチャーに基づいてBRCA1およびBRCA2の欠損を予測するモデルである

Nature Medicine 23, 4 doi: 10.1038/nm.4292

乳がんのほぼ1~5%は、BRCA1あるいはBRCA2の遺伝性の変異が原因とされ、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤に選択的感受性を示す。他の種類のがんでは、BRCA1BRCA2BRCA1/BRCA2)の生殖細胞系列や体細胞での変異もPARP阻害剤に選択的感受性を持つ。それゆえ、BRCA1/BRCA2を欠損する腫瘍を検出する手法の探索が続けられている。最近、体細胞性の置換、挿入/欠失、再編成のパターンのような「変異シグネチャー」がBRCA1/BRCA2の機能不全と関連することが示された。今回我々は、lassoロジスティック回帰モデルを用いて、BRCA1/BRCA2の欠損を予測する6種類の特徴的な変異シグネチャーを見つけだした。BRCA1/BRCA2を欠損する試料を正確に検出するために、HRDetectと命名した重み付けモデルが開発され、HRDetectはBRCA1/BRCA2欠損腫瘍を98.7%の感度で見つけ出した〔曲線下面積(AUC)=0.98〕。このモデルを、560人の乳がん患者からなるコホートで、そのうちの22人が生殖細胞系列のBRCA1あるいはBRCA2変異を持つことが分かっている集団に適用したところ、体細胞でBRCA1あるいはBRCA2が失われている腫瘍がさらに22例、また変異は検出されないがBRCA1/BRCA2の機能が失われている腫瘍が47例見つかった。我々はHRDetectについて、乳がん、卵巣がんおよび膵がんの独立したコホートで有効性を確認し、また別の塩基配列解読戦略でも有効性が実証された。従って、変異シグネチャーの全ての種類を統合することで、BRCA1/BRCA2欠損があり、PARP阻害に選択的に治療感受性を示す可能性がある患者の割合は、これまで認められた(約1~5%)よりも、多い(最大22%)ことが明らかになった。

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