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糖尿病:1型糖尿病で見られる欠陥のあるリボソームインスリン遺伝子産物に対する自己免疫

Nature Medicine 23, 4 doi: 10.1038/nm.4289

1型糖尿病(T1D)で糖尿病誘発性T細胞によって認識され、β細胞の選択的破壊を引き起こすエピトープの検証は、本来の状態のβ細胞タンパク質群に由来するペプチドに集中して行われてきた。翻訳の際のエラーは、中枢性免疫寛容が成立しない抗原ペプチドの大きな供給源となる可能性がある。本論文では、ヒトインスリンmRNA内に、免疫原性が非常に高いポリペプチドをコードするもう1つ別のオープンリーディングフレームが存在し、T1D患者ではこのポリペプチドがT細胞の標的となることについて報告する。通常は見られないこの遺伝子産物のN末端ペプチドを識別する細胞傷害性T細胞が、T1Dと診断された患者の循環中に存在することが分かった。そのようなCD8+ T細胞はヒトβ細胞を死滅させることができ、その結果として糖尿病を誘発する可能性があることを示す直接的な証拠も得られた。本研究は、臨床的な自己免疫疾患で自己エピトープとして作用する、通常は見られないポリペプチドの新たな供給源を明らかにしている。

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