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白血病:クレアチンキナーゼ経路はEVI1陽性急性骨髄性白血病における代謝的脆弱性である

Nature Medicine 23, 3 doi: 10.1038/nm.4283

MECOM(別名EVI1)がん原遺伝子の発現は、急性骨髄性白血病(AML)の一部では染色体転座により脱調節していて、予後不良と関連している。我々は造血細胞のトランスクリプトームとメタボロームのプロファイリングを行い、EVI1の過剰発現が細胞の代謝を変化させることを明らかにした。プールされた短鎖ヘアピンRNA(shRNA)を用いたスクリーニングによって、ATP緩衝作用のあるミトコンドリア・クレアチンキナーゼCKMT1が、EVI1陽性AML患者でのEVI1発現細胞の生存に必要であることが見いだされた。EVI1は、骨髄で発現する分化調節因子であるRUNX1の抑制により、CKMT1の発現を増強する。CKMT1を標的とするshRNA、あるいは低分子化合物であるシクロクレアチンによってアルギニン–クレアチン代謝を抑制すると、ヒトEVI1陽性細胞株の生存が選択的に低下し、細胞周期の停止やアポトーシスが促進され、またヒトAML同所性異種移植モデルおよび原発性AMLのマウスモデルの両方で生存が延長された。CKMT1を阻害するとミトコンドリア呼吸やATP産生が変化したが、この影響はホスホクレアチンによるアルギニン–クレアチン経路の再活性化によって消失した。従って、現行の治療法に高い抵抗性を示し、EVI1によって進行するこのAMLサブタイプでCKMT1を標的とすることは有望な治療戦略と考えられる。

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