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ウイルス感染:ナチュラルキラー細胞はアフリカミドリザルのリンパ節濾胞内へ遊走し、サル免疫不全ウイルスの複製を制御する

Nature Medicine 23, 11 doi: 10.1038/nm.4421

ナチュラルキラー(NK)細胞は抗ウイルス免疫に不可欠の役割を担っているが、二次リンパ器官でのその機能は十分明らかにはなっていない。リンパ節濾胞は、HIV-1ウイルスやマカクザルのサル免疫不全ウイルス(SIVmac)への感染時にウイルスの主要なリザーバーとなる。これとは対照的に、アフリカミドリザル由来のSIV(SIVagm)による非病原性感染の際には、一般的に濾胞にはウイルスが存在しない。本論文では、SIVagmに慢性感染しているアフリカミドリザル(AGM)の二次リンパ器官のNK細胞はCXCR5+であることが多く、感染後240日までの経過観察期間を通じてリンパ節濾胞に入り、そこに持続的に存在することを示す。このような濾胞はIL-15の陽性度が非常に高く、IL-15は主に濾胞樹状細胞の膜に結合した形で提示された。SIVagm慢性感染の際に抗IL-15モノクローナル抗体の投与によってNK細胞を除去すると、濾胞およびT細胞域でウイルス複製速度が上昇し、リンパ節中のウイルスDNAが増加した。我々の結果は、非病原性のSIV感染ではNK細胞が濾胞へ遊走し、リンパ節でのウイルスリザーバーの制御に主要な役割を果たすことを示唆している。

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