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アレルギー性疾患:エポキシ化オメガ-3脂肪酸はIgEを介するマスト細胞活性化の規模を制御するオートクリンメディエーターである

Nature Medicine 23, 11 doi: 10.1038/nm.4417

アレルギーなどの免疫応答におけるマスト細胞の機能には、マスト細胞による脂質メディエーターの産生が必須だが、こうしたメディエーターの中で性質がよく調べられてきたのはオメガ-6(ω-6)アラキドン酸由来のエイコサノイドのみである。我々は包括的リピドミクスを用いて、エポキシ化オメガ-3(ω-3)脂肪酸がマスト細胞由来の新しい脂質メディエーターであることを突き止め、それらが酸化型リン脂質選択的ホスホリパーゼA2のPAF-AH2によって産生されることを明らかにした。PAF-AH2の遺伝学的あるいは薬理学的な欠失により、エポキシ化ω-3脂肪酸の定常的な産生が低下し、FcεRI架橋後のマスト細胞活性化やアナフィラキシーの減弱が引き起こされた。分子機構としては、エポキシ化ω-3脂肪酸はPPARγが関与する経路を介して、FcεRIシグナル伝達に拮抗するSrc抑制タンパク質であるSrcin1の発現を低下させることにより、IgEを介するマスト細胞活性化を促進する。従って、PAF–AH2–エポキシ化ω-3脂肪酸–Srcin1軸はアレルギー性疾患の新しい薬剤標的候補である。

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