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脂肪肝:腸の低酸素誘導性因子2αの肥満時に起こる活性化は脂肪肝の一因となる

Nature Medicine 23, 11 doi: 10.1038/nm.4412

非アルコール性脂肪性肝疾患は西欧諸国で最もよく見られる慢性肝疾患になりつつあるが、治療選択肢は限られている。今回我々は、脂肪肝に腸の低酸素誘導因子(HIF)が果たす役割を明らかにした。肥満者と非肥満者由来のヒト腸生検試料から、腸のHIF-2αシグナル伝達がBMI(body mass index)および肝障害と正の相関関係にあることが分かった。この相関の因果関係は、マウスで腸特異的にHif2aを破壊することで実証され、このようなマウスでは高脂肪食誘導性の脂肪肝や肥満の発症が対照マウスよりも大幅に少なかった。HIF-2α特異的な阻害物質であるPT2385は、腸HIF-2αに依存する代謝疾患に対して予防的に働き、また治療効果も見られた。腸のHIF-2α阻害は、腸内および血清中のセラミド濃度を著しく低下させた。作用機序としては、腸HIF-2αはセラミド代謝を主に再利用経路から調節していて、それはノイラミニダーゼ3をコードしている遺伝子のNeu3の発現を正に調節することによっている。これらの結果は、腸HIF-2αが脂肪肝治療の際の有望な標的である可能性を示唆している。

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