Review

がん:がん幹細胞の再検討

Nature Medicine 23, 10 doi: 10.1038/nm.4409

がん幹細胞(CSC)という概念は40年前に提唱されたもので、腫瘍の増殖は健常組織の再生と類似していて、増殖だけに関わっている少数のCSCによって盛んになるとする考え方である。CSCは、多くの腫瘍でそれ専用のニッチに存在することが次第に明らかになってきたが、CSCの識別や根絶については当初期待されたほどには解明が進んでいない。最近開発された細胞系譜追跡や細胞アブレーションという手法によって、CSCの可塑性、休眠、再生や治療応答についての手掛かりが得られるようになった。本総説では、CSC研究における新たな展開について、正常な幹細胞が健常組織を維持する仕組みについての知見の推移と関連付けて論じる。この研究分野での予想は徐々に現実味を増しており、今や、CSCという概念に基づいた治療法が最初の成功に近づきつつある。

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