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白血病:絶食はレプチン受容体の発現増加を介して急性リンパ芽球性白血病の発症を阻止する

Nature Medicine 23, 1 doi: 10.1038/nm.4252

白血病を効果的に治療するには新規な治療法が必要である。絶食などの食餌制限療法は、一部の種類の固形腫瘍の予防と治療に関しては検討されてきたが、食餌制限が造血系悪性腫瘍に影響するのかどうか、またどのような仕組みで影響するのかは分かっていない。今回我々は、絶食はそれだけで、B細胞型およびT細胞型の急性リンパ芽球性白血病(それぞれB-ALLおよびT-ALLと略す)の両方の発症を強力に抑制し、白血病の進展を阻止するが、急性骨髄性白血病(AML)ではこうした抑制が見られないことを、これらの腫瘍のマウスモデルで明らかにした。機構としては、ALLの発症と維持にはレプチン受容体(LEPR)の発現低下が必須であり、絶食はLEPRの発現増加とLEPR下流でのPRDM1(protein PR/SET domain 1)を介するシグナル伝達によりALL発症を阻害することが分かった。LEPRシグナル伝達関連遺伝子の発現はプレB-ALLの小児患者の予後と相関していて、絶食はヒトの異種移植片モデルでB-ALLの増殖を効果的に抑制した。我々の結果は、絶食の腫瘍増殖に対する作用はがん種に依存していることを示していて、ここから白血病治療戦略の開発への新たな道筋が考えられる。

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