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うつ病:安静時機能結合性はうつ病の神経生理学的サブタイプを特徴付けるバイオマーカーである

Nature Medicine 23, 1 doi: 10.1038/nm.4246

バイオマーカーは現代医学を大きく変化させたが、精神医学ではまだほとんど見つかっていない。その一因は、診断用の標識とその基盤となっている神経や脳の領域(神経生物学的基質)の間の対応が弱いことである。うつ病は、他の神経精神医学的疾患と同じく、一元的な疾患ではなく、同時に起こるさまざまな症状と治療に対する多様な応答を包含する不均一な症候群である。今回我々は、多数の研究施設から得られた大規模なマルチサイトサンプル群(n = 1188)で機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、うつ病患者は4つの神経生理学的サブタイプ(バイオタイプ)に分類できること、こうしたバイオタイプは辺縁系および前頭葉–線条体ネットワークにおける結合性機能不全を示すそれぞれ別のパターンによって明確に示されることを明らかにした。これを基盤として患者のクラスタリングを行ったところ、マルチサイトバリデーションデータセット(n = 711)とサンプル外複製(n = 477)データセットで、うつ病サブタイプに対して高い感度(82~93%)と特異性を示す診断的分類指標(バイオマーカー)を開発することができた。これらのバイオタイプは、臨床的特徴を基盤とするだけでは弁別できないが、異なる臨床症状プロファイルと結び付いており、また経頭蓋磁気刺激治療に対する応答性を予測する(n = 154)。我々の結果は、うつ病の新たなサブタイプを明らかにしており、これは現在の診断限界を超えるもので、標的を定めた神経刺激治療の効果が最も期待できそうな患者を見つけ出すのに役立つだろう。

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